読者の悩み
- 移動平均線はどう使うの?
- 種類がいっぱいあって区別できない!
- 基礎から応用まで教えてください
移動平均線を使う際に「どの種類の使うのか」、「期間はどうすればいいのか」と悩んだことはないでしょうか?
移動平均線には複数の種類があり、設定期間も自由に選ぶことができます。
そこでこの記事では、移動平均線の基礎から、種類、期間の選定まで解説しています。
移動平均線の定義
移動平均線とは、ある一定期間の価格の平均値を計算し、その値を結んだ線のことです。
例えば、5日間の終値の移動平均で例をとる。
直近の5日分のローソク足の終値を合計し、5で割ったものが移動平均となる。
移動平均線を用いる際に注意しなければならないことがあります。
それは「市場の未来を予言するものでない」ということです。
特に初心者の方で勘違いをしている方が多いと思います。移動平均線は価格を追随するテクニカル分析ということは再認識してください。
移動平均線が先に作られるわけではなく、価格の終値が出るのが先です。ということは、ローソク足を追いかけていることがわかるはずだ。
ちなみに、短期移動平均線と長期移動平均線で比べた場合、短い移動平均線のほうが敏感です。
どの価格で平均をとればいいの?
適応価格の種類
- Close:終値
- Open:始値
- High:高値
- Low:安値
- Median Price:高値と安値の中間値
- Typical Price:(高値+安値+終値)の1/3
- Weighted Close:(高値+安値+終値+終値)の1/4
適用価格の選択
適用価格からプルダウンで「平均」するものを選べます。
移動平均線の種類
移動平均線の種類
- 単純移動平均線
- 加重移動平均線
- 指数平滑移動平均線
さあ、訳のわからない単語ばかり出てきましたね!
わかりやすく解説していきます!
単純移動平均線(SMA:Simple moving average)
単純移動平均線は、一定期間の価格の平均値を結んだ線のことです。
単純移動平均線は多くのトレーダーに用いられています。
単純平均とは何か?
単純平均は簡単ですね。数値を足した後に、足したものの個数で割れば平均が出てきますね。
単純平均の計算例
- Q:A君の点数は70点、B君は60点です。2人の平均を求めなさい。
(70+60)/2=65
答えは65点ですね。
単純平均を移動平均線に応用
単純平均を移動平均線に応用してみましょう。
5日間の終値を単純移動平均線にしてみましょう。
当日の終値をA、1日前をA2、2日前をA3、3日前をA4、4日前をA5としたときの計算式は以下の通りです。
加重移動平均線(WMA:Weited moving average)
加重移動平均線は、直近に価格に比重(重みづけ)を置いた移動平均線です。
加重平均とは何か?
2つの数字y1とy2に対する加重平均は以下のようになります。
加重平均の式
w1はy1の重み、w2はy2の重みを表します。
このままだと、訳がわからないので計算例でしましょう。
加重平均の計算例
- Q:A組とB組でテストを行いました。A組の平均点は60点、B組の平均点は90点としたときの全体の平均点は何点ですか?ただしA組は2人、B組は3人とする。
誤った計算例
(60+90)/2=75
正解は75点です!
このように計算してしまった方は不正解です。この計算だとただの単純平均の計算と一緒ですね。
正しい計算例
まずは計算式を書きます。
(2×60+3×90)/(2+3)=78
答えは78点です。
ここで質問です。
重要度の数値はどれですか?→各組の人数(A<B)ですね。
B組のほうが平均点も高く、人数が多いので重み(重要度)が高いことはわかりましたでしょうか?
このように、重要度が高いほうに重みを置いた平均を加重平均といいます。
おそらくまだピンと来ていないかたもいると思いますので、簡単な例を出しましょう。
例:A組が平均点3点、B組が平均点90点。ただしA組が2人、B組が100人とする。このときの全体の平均点は?
このように問われたとしよう。
圧倒的に数が大きいのは?→B組ですね。
B組に対してA組は数も少なければ、平均点も低いことがわかります。ということは、A組は平均を取ったところで最終的な数値に影響をあまり及ぼさないことがわかります。
B組のほうが、最終的な数値を出す際に影響(重要度)が大きいということです。
加重平均の計算例を移動平均線に応用
先ほどの計算例を移動平均線に応用してみましょう。
当日の終値をX1、1日前をX2、2日前をX3、3日前をX4、4日前をX5とした時の計算式は以下の通りです。
この計算式を見たときに、重要度が最も高い日付は?
答えは当日です。なぜなら5日間の中で、一番高い重みが掛けられているからです。
ここで、加重移動平均線の定義はなんでしたか?
加重移動平均線は、直近に価格に比重(重みづけ)を置いた移動平均線
でしたね。計算式からわかるように加重移動平均線は直近の価格に比重を置いていることがわかります。
指数平滑移動平均線(EMA:Exponential moving average)
指数平滑移動平均線は、単純移動平均線のデメリットを改善した移動平均線です。
指数平滑移動平均線は加重移動平均線と同様に直近の価格に比重を置いています。
単純移動平均線のデメリットは以下の2つです。
デメリット
- 平均される期間にしか注意が払われていない
- 価格を等しく平均してしまっている
このデメリットを改善したものが指数平滑移動平均線です。
少し古い価格も加味するのでだましが少なくなる。トレンドの発生に対して反応が早いといったメリットがあります。
どの移動平均線が使えばいいのか?
一概にも、どの移動平均線が一番有効とは言えませんが…
初めて移動平均線を用いる場合は、「単純移動平均線」を用いることをおすすめします。
理由は2つあります。
単純移動平均線を使う理由
- トレーダーの多くが使っているためテクニカル分析が効きやすい
- 複数のマーケットの中で単純移動平均線が最もよく機能したという研究結果がある
移動平均線の期間について
移動平均線の期間設定は、数多くのトレーダーが使用している期間を使用することが最適解です。
価格変動は人の心理で決まるので、より多くのトレーダーが使用している期間を用いてテクニカル分析することが勝率へ影響します。
よく使用される移動平均線の期間は以下の通りです。
期間の参考
- 短期:20、21、25
- 中期:50、75、100
- 長期:200以上
これらの組み合わせから選べばいいと思います。
移動平均線の数値はさほど重要ではありません。なぜなら、通貨ペアによって効きやすい期間というものが違うからです。
移動平均線は何本使えばいい?
一本の移動平均線では多くのだましが出る可能性があります。
そこで、2本または3本の移動平均線を用いることでトレードに信頼性を高める必要性があります。
複数の移動平均線を使ったシグナル
2本もしくは3本の移動平均線を利用したシグナルはゴールデンクロスとデッドクロスです。
ゴールデンクロス
ゴールデンクロスとは、短期線が中期線を上抜けた場合です。
上のチャートでは短期線が中期線を上抜けてゴールデンクロスが起きています。
ゴールデンクロスが起きた後に、上昇をしているのがわかります。
デッドクロス
デッドクロスとは、短期線が中期線を下抜けた場合です。
上のチャートでは短期線が中期線を下抜けてデッドクロスが起きています。
デッドクロスが起きた後に、下降していることがわかります。
ゴールデンクロスとデッドクロスの注意点
例えば、上のチャートではシグナルは出ていますが、その後の価格が伸びてはいません。
移動平均線の用途
移動平均線には以下の2つの用途があります。
用途
- トレンドの認識
- 抵抗帯
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トレンドの認識
移動平均線を使ったトレンドの認識は簡単です。
短期・中期・長期線が同じ方向を向いていれば信頼性の高い情報となります。
短期・中期・長期線が同じ方向を向いている状態をパーフェクトオーダーといいます。
抵抗帯
移動平均線は抵抗帯としての機能もあります。
それぞれの移動平均線で価格が跳ね返されることがよくあります。
まとめと復習
今回は移動平均線の基礎と使い方を解説しました。
最後に復習をして終わりましょう。
復習
- 移動平均線の適用価格で重要なのは( ① )である。
- 移動平均線の3つの種類を答えよ。
- 移動平均線の種類で( ② )が最も多く使用されている。
- 短期・中期・長期線が同じ方向を向いているときを( ③ )という。
- 移動平均線の用途は( ④ )、( ⑤ )である。
解答
- ①:終値
- 単純移動平均線、加重移動平均線、指数平滑移動平均線
- ②:単純移動平均線
- ③:パーフェクトオーダー
- ④:トレンドの認識
- ⑤:抵抗帯